QOL クオリティーオブライフ

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今回は、いつもと違って少し真面目なお話しをお伝えしたいと思います。笑

父であり、稲葉歯科医院顧問の稲葉繁は、日本の歯科大学初の高齢者歯科学教授を7年間務めてきました。

1992年、今から20年以上も前に高齢者歯科のマニュアル、ガイドライン、そして沢山の論文や学会発表をしてきました。

その影響か、わたしも度々、今の日本の高齢者対策の現状について触れる機会があります。

現在『世界に誇る長命国日本』と言われていますが、実は『寝たきり老人王国』
だということは、あまり知られていません。

今の日本の高齢者対策は非常に遅れていますが、それに輪をかけて、高齢者の歯科対策が遅れをとっています。

日本で介護保険がスタートした年、ドイツのカイザース・ラウテルンの特別養護老人ホームを家族で見学に行きました。

日本とのQOLの質の差に愕然としたものです。

ドイツでは特別養護老人ホームは部屋からでてくるとき、寝間着ではでてきません。

きちんと洋服を着て、女性はお化粧をして広場に集まります。

日本のように寝間着で歩き回るような事はありません。

ほとんど、すべてが個室で、24時間体制のケアがされています。

普段通りの個人の生活を大切にし、プライベートが守られています。

ドイツでは例えば夫が入居したとしても、妻がつきそい、使い慣れた家具も入れられ、ペットと一緒に暮らすことも許されています。

そこで生活をしているのです。

広々とした庭のようにみえて、 痴呆の入居者が施設外に出て道に迷ったりすることのないように工夫されているのも特徴です。

ピアノリサイタル、映画鑑賞、ビリヤード場に屋内スイミングプール そして、社交ダンスなどの設備があり、そこが、
まさか老人施設だとは普通の日本人の感覚だとわからないと思います。

日本はどうでしょうか。

面倒を見ているようで、根本的に、高齢者のためにはなっていないと感じます。

なかなか、難しいと思いますが、これから変わって行く必要があると思います。

人的資源において、日本で大きな問題となっていると、父から教わりました。

ドイツでは1956年に憲法改正により、義務兵役法を設立させました。

徴兵年齢は満18歳。兵役期間は15か月となっています。

ですが、「良心的兵役拒否」の権利が認められていて、国は兵役をしたくない人達に対し、介護施設でボランティアをするということにしています。

年間30万人以上と言われ、ドイツの介護保険導入で需要の増えた人材不足を補っていました。

ドイツで見た介護施設のAWOでは寝たきりになっている人がほとんどなく、 夫婦で仲良く老後を楽しみ、自立した人々が介護保険の支給により、老後のQOLを保っている感がありました。 

しかし、義務兵役法は、2011年7月に廃止。

それにともない、「良心的兵役拒否」にもとづく代替の社会奉仕(Zivildienst)もなくなりました。

すでに2009年には社会奉仕を選択していた人も9万人強にとどまっていたようです。

また、兵役期間は1991年まで確かに15か月だったのですが、その後12か月、10か月へと減らされ、
最終的には2002年から9か月になっていたようです・・・・

先日。

国会議事堂に隣接する憲政記念館で
『沖野修也×Zeebraクラブカルチャーを語る』というイベントに参加させていただきました。

沖野修也さんは、父が代表を務めるIPSGという歯科の先生方のグループ発足20周年記念のパーティーを演出してくださった、
世界で活躍されているDJです。

お話の中で、大変興味深く思ったのが、クラブDJと病院、老人ホームとのコラボです。

音楽によって空間の価値を変える。

ドイツのように老人ホームでピアノリサイタル、社交ダンスを楽しむのと同様の感覚だと思います。

もし、実現できればとても素晴らしいと感じます。

これまでも、沖野さんはレストラン、大使館、空港など世界の様々なシーンに関わってきました。

昨年、IPSGの特別講演をしてくださった牧師の関根一夫先生は、やはり老人ホームでウクレレの演奏をしています。

目が輝き、生きる希望が湧いてくる患者様が沢山いらっしゃる、そして毎回関根先生が来るのを楽しみにしていると聞いています。

これからは、病院や老人ホームは治療をするだけではなく、
QOL(クオリティーオブライフ)そして、QOT(クオリティーオブトリートメント)
が欧米並みに必要になると感じます。

沖野さんが、基調講演を行ったのですが、その内容にとても共感したので、ぜひ皆様にもシェアさせていただきたいと思います。
ぜひ、読んで頂けたらうれしいです。

▼『沖野修也×Zeebraクラブカルチャーを語る』

また、クロアチアやセルビアの老人ホームも、生活をより積極的に能動的に楽しめる要素が多かったと教えていただきました。

来年の3月と5月にドイツを訪れる予定なので、その後ドイツの特別擁護老人ホームがどのように変化しているのか、
勉強させていただき、また皆様にお伝えすることができればと思います(^_<)-☆