Quint Dental AD Chronicle 2015に掲載されています☆

Quint Dental AD Chronicle 2015に掲載されています☆

2015年のQuint DENTAL AD Chronicleという雑誌に、IPSG包括歯科医療研究会 を紹介していただきました(^_^)

全国7万件の歯科医院に無料で届けられる、業界初のデンタルフリーマガジンです。 

患者様にも読んでいただきたく、内容をご紹介させていただきたいと思います(^_<)-☆ 


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IPSG包括歯科医療研究会(Interdisciplinary Practical Study Group)は1994年に元・日本歯科大学教授の稲葉繁氏を中心に、ドイツ・アルゴイ地方の歯科研修で発足した歴史あるスタディーグループである。

さる2014年4月には、その20周年を記念した特別講演会も催され、ドイツ最先端義歯技術の権威、H.Weber教授(チュービンゲン大学歯学部長)を招聘し、盛会となった。

また、同年の12月には恒例の学術大会を開催し、会員発表はもとより、登山家の三浦雄一郎氏による特別講演会も開催。

3度のエベレスト登頂を成し遂げた氏が、健康管理における嚥下の重要性について語る事で、IPSGが推奨する「単に歯を診るだけでなく、全身の健康と調和する包括歯科医療」の重要性を聴衆に訴えかけた。

その特別講演の模様とIPSGの活動内容について、代表を務める稲葉繁氏と、稲葉由里子氏にじっくりと語っていただいた。


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▼三浦雄一郎氏の父・敬三氏の活躍を支えた源「嚥下体操」とは?

そもそも、登山家の三浦氏を歯科の学術大会に招聘したきっかけはどこにあったのだろうか。

まずは、由里子氏にその点についてうかがってみた。

「2014年のはじめに、歯科とは関係のないパーティーで偶然にも三浦さんが嚥下のトレーニングのお話をうかがったことがきっかけです。

そこでは、99歳でヨーロッパアルプスのモンブランから滑降された三浦さんのお父様の三浦敬三さんの健康の秘訣が「嚥下体操」だったということ、またそれを毎朝100回、それに加えて気の向いた時に行うことで1日に1000回はしていた、ということでした。

このように、顔の筋肉や口元の筋肉を鍛え、食事も口から玄米などを食べることで、ぜひそのお話をIPSGの学術大会でもしていただきたいと、お願いしたわけです」

アクティブな高齢者の代名詞ともいえる三浦氏の父親の活躍の裏に、こうした口腔機能の訓練が隠されていたというわけである。

「日本では『リハビリテーション』という言葉の解釈が非常に消極的です。その人の、その時におかれた状態に合わせて、精神的にも体力的にも維持していく、というのが日本では常識ですが、本来、リハビリテーションというのは元のかたちに戻すということですから、健康な、その人本来の状態にするのが正しいわけです。

これまでのリハビリテーションは「守り」の考え方ですが、やはりそこに頼るのではなく、「元に戻す」のがリハビリテーションの本質だと思っています。

三浦さんのご講演の中にも、『守りの健康』と『攻めの健康』というお言葉がありました。「守りの健康」というのは、自分の努力なしになんとか健康を守っていこうという姿勢で、「攻めの健康」というのは、自分の身体をどんどん鍛えていくということです。(繁氏)」

▼口腔機能の「攻めの健康」を支える「ラビリントレーナー」

それでは、口腔機能に関する「攻めの健康」にはどのような方法があるだろうか?

繁氏はこう続ける。

「今回のお話をうかがって、私も40年以上前から筋機能療法などの研究を行う中で以前から近い考えをもっていたのですが、それが明確になりました。口腔にも同じように、攻めの健康が必要なのです。そういった考えから生まれたのが、このラビリントレーナーです。摂食・嚥下の機能を保つ。

そしてできるかぎり、元の状態に戻す。食べるものも、柔らかいものではなく固いものを食べられるような筋力をつけて、普通の生活をおくれるようにするのが目的です。

この製品は私が開発して、コナミから販売しています。特許自体は日本歯科大学のリハビリテーションセンターが保有しているのですが、もともとは私が当初から携わってきたものです」


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目の前に置かれたのは、プラスチック製の、丸みをおびた長さ20センチほどの装置。

「われわれを含め、IPSG会長の飯塚先生がこのラビリントレーナーを使ってよい結果を出されています。嚥下が神経系にどう影響するかはまだ分からないのですが、ご高齢の患者さんの全身状態がとても良くなります。

胃ろうが外せるようになる、あるいは、全身に力が入るようになり、腕が上がるようになる、さらには失語症が改善するという報告もあります。

また、口呼吸が少なくなってくる面も効果として挙げられます。口呼吸をしていると口渇が生じ、それこそ誤嚥性肺炎や虫歯の原因になりますが、これを使うことで鼻呼吸の習慣がつきます。(由里子氏)」

IPSGというと、とかく総義歯やテレスコープ義歯のエキスパートを養成するイメージが強いと思われるが、このように患者の人間の身体全体を考えて、赤ちゃんから老人までの健康を保ち、「包括歯科医療」の名のもとに、歯科医師としての責任を果たす使命を根幹に据えているのである。

▼「予防補綴」としての高精度なテレスコープデンチャー

さて、「包括歯科治療」の名のもとに乳幼児の咬合育成から総義歯治療までと歯科のあらゆるジャンルを網羅するIPSGであるが、もちろんテレスコープ義歯についても徹底的に学ぶ事ができる。

その根底には、繁氏が推奨する「予防補綴」のコンセプトがある。

「現在、歯科治療においてミニマルインターベンション(以下、MI)の考え方が主流になっていますが、今の団塊の世代、あるいはそれ以上の年齢の患者さんは予防という概念がない時代を生きてきた方々ですから、MI だけでは治療として不足な場合があります。

働き詰めで口腔内を省みることなく、半生を振り返ってみてれば経済的余裕は生まれたけれど口腔内は・・・という患者さんがたくさんおられる時代です。

そういう患者さんに対し、私は『予防補綴』として、これまでに損なわれた残存歯や歯周組織の状態を整え、残存歯を守るような治療を行っています。

ご承知のとおり、保険のクラスプデンチャーが残存歯にダメージが加わる症例は多いものです。IPSGの補綴は、テレスコープシステムの技術をもとにLongevityのある、まさに予防的な補綴を実践するものです。

1度行えば、それ以降は残存歯を悪くしないような補綴。それをめざします。

私の経験では、20年、30年経過症例はざらにあります。たしかに初期投資は多いかもしれませんが、長い目でみればそうのほうが患者さんにとってもリーズナブルです。

MIもたしかにたいせつですが、今は高齢の患者さんの口腔内をこれ以上悪くしないための『予防補綴』ここに力を注いでいます(繁氏)」

この他にも、予防補綴のための各ステップにおける精度の追求や、最善の歯科医療を患者に提供するためのコンセプトについて熱く語ってくださった両氏。

本年も引き続き、ぜひIPSGの門を叩いてみていただきたい。 


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2014年の学術大会にて、三浦雄一郎氏を囲んで。