ITI World Symposyum2日目〜その2〜

ITI World Symposyum2日目〜その2〜

ITI World Symposyum〜その1〜

に引き続き、やはり無歯顎の患者様に対してデジタルやCAD/CAMはどこまで進んでいるのかは気になるところです。

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“Digital Management of Edentulous Patients”

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昨今、デジタルによる総義歯の製作が話題となっています。

今後、使いやすく価格的にも安くなれば沢山の方に受け入れられるでしょう。

デジタルが進んだ事で、患者様に自由にデザインを提案することができます。

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診断において、2次元の診断は総義歯において重要です。

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インプラントを行う上では3次元の診断は必須となります。

講演をされたドクターはアメリカ人。

意外なのですが、アメリカでは重篤な患者様が沢山いるとのこと。なぜなら、歯科に保険が効かないために治療に行かない方が相当数いるからだそうです。

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先生のお考えによると、現時点で無歯顎におけるデジタル印象は難しいとのことです。

ボーダーなどの粘膜の移行部は筋肉の状態も関与するためです。

これまで通り、普通に印象を採り、その後はバーチャルで行う事ができますが、フルデジタルは無歯顎においては、まだ難しいとおっしゃっていました。

従来の重合に比べて、収縮や気泡が入らずにできるところが素晴らしいと思います。

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人工歯排列も完全デジタルはまだ難しいです。

もちろん、バーチャルで人工歯排列はできますが、試適はワックスで行った方がクオリティーが高いでしょう。

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インプラントの維持装置に関しても、固定式のワンピースは、デジタルで行うのは難しいので、従来の技術が勝るとおっしゃっていました。

粘膜負担の無歯顎においては今後の可能性が期待されます。

明日も1日シンポジウムがありますが、私がこれまで感じた事は、デジタルやバーチャルが急速に進んでいるとしても、最終的に必要なのは私達が培ってきた、これまでの知識だと思います。

これら便利なツールを患者様の口腔内に適合させるのは、歯科医師、歯科技工士しかできません。

そもそも、薬事の問題もありしばらくは日本に導入されることはないでしょう。

現状、私達が提供している、最善の技術をそのまま信じて頑張れば良いのだということを確信しました。

義歯において、材料や方法に大きな変革があったとしても、患者様の残存歯の状態を見極めて設計するのは、先生方それぞれの考えによります。

粘膜負担のパーシャルデンチャー、総義歯において、これまで通りの方法で行っていて何ら問題はありません。

ドイツやスイスのラボにはこうしたデジタル、バーチャルの機械が取入れられますが、日本においてはどうでしょうか。

薬事の認可が降りないということもありますが、これだけ価格の高い機械を一体誰が取入れる事ができるのでしょうか。

大手のラボということになるかもしれませんが、やはり日本のラボの経営の向上が計られないと良い機械も導入できないと思います。

日本では、テレスコープやインプラントの上部構造において、コバルトクロムを加工するCAD/CAMが導入されることが一刻もはやく必要です。

ゴールドの鋳造とは違い、コバルトの鋳造は非常に大変です。そして、細部の加工には、放電加工術が欲しいところです。

ラボが導入できないと、歯科医院に提供できません。

歯科医院で放電加工機を使う事はないですから。

全顎の鋳造がどれほど大変かはドクターにはなかなか理解できません。もちろん、私もわかりませんでした。

何度も失敗し、全顎のワックスアップからやり直しているのをずっと見ています。

これまでの目標、夢をあきらめずに、Weber dental labor はコバルトクロムの加工術を取入れられるように頑張りたいって思いました。