コーヌスクローネのご紹介〜ドイツにおける製作方法・その1〜

コーヌスクローネのご紹介〜ドイツにおける製作方法・その1〜

こんにちは。

Weber dental labor の稲葉由里子です。

今回は、コーヌスクローネのご紹介〜ドイツにおける製作方法〜についてお伝えしたいと思います。

コーヌスクローネのご紹介〜歴史編〜も合わせて読んで頂けると嬉しいです。

コーヌスクローネの特徴として

・固定性の義歯と同様の装着感がある
・義歯を取り外した時、歯が孤立するので、清掃が行いやすい
・義歯を装着すると歯が二次的に固定される
・修理が比較的簡単でリスク管理が行いやすい
・長期間使用することができる

などが挙げられます。

クラスプデンチャーをなぜおすすめしないか。
それは、クラスプは歯軸の方向に力がかからないからです。
また、クラスプは歯を傾斜移動させてしまいます。

くいを抜くような動き(前後にゆする)ことで、次第に動揺し最後には歯を失ってしまいます。

クラスプとは、密着はしていますが、接着していないところが 欠点とも言えるでしょう。

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クラスプがみえないような審美義歯、シリコン素材のものは、一見、よく見えますが、パーシャルデンチャーに必要なレストがありません。

確実にクラスプがアンダーカットの下に潜り込み、保険で作られるクラスプデンチャー以上に歯を揺すってしまうでしょう。

コーヌスクローネは、補綴物が長期間にわたり正常に機能し、口腔内にとどまるのは正しい臨床操作と技工操作が行われて初めて達成されます。

コーヌステレスコープの場合、内冠製作から外冠製作、患者様への装着がいかにされたかが重要で、よい維持力が発揮されるのは、正しい方法で正確にコーヌス角度が与えられ、これがコーヌスクローネに適した金属で製作されたか否かによるものです。

▼コーヌスクローネの維持力について

現在、最も問題とされているのは、維持力に関することであり、維持力が強い場合、あるいは弱い場合どのように対処するか、また維持力調整の前提として正しくコーヌスクローネが製作されたかどうかです。

製作の容易さという事から、コーヌスクローネのような形をしていても、実はコーヌスクローネではない補綴物を多く見かけます。

ぜひ、『正統派コーヌスクローネ』を身につけていただき、患者様に長く使っていただける様な治療をしていただきたいと思います。

コーヌスクローネの維持力を確実に発揮させるためには内冠の製作をいかに正確に行うかが重要です。

言いかえれば『コーヌスクローネの生命は内冠の軸面出しにあり』 と言っても過言ではありません。

支台形成、印象採得の後、内冠作製用の模型上で、コノメトリーという操作を行います。

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※コノメトリーとは、コーヌスの装着方法を決定するための操作で、6度のワックスシャーバーを使い内冠の厚みが一定の厚みで歯頸部がもっとも薄くなり、アンダーカットができない位置を計測する方法です。

6度のワックスシャーバーで、全周を削りだします。

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不平行支台の時、歯頸部にネガティブビンケルという不潔域が生じます。

このネガティブビンケルを解決するために、当時西ドイツの技工マイスターH.Pfannenstiel,R.pflaum,機械工学マイスターH.Breitfeldらによってコーヌス形成用装置である『コナトア』が開発されました。

稲葉先生が指を差している、6度の範囲で自由に調節できる雲台で、ネガティブビンケルの少ない正確な物が製作可能となり、大幅に作業能率が上昇しました。

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前歯および臼歯を支台としたコーヌスクローネの場合、補綴物の装着方向に対してコーヌス角度を与えようにも前歯と臼歯の歯軸が一致していないため、前歯の 歯頸部に多くの金属が露出して審美性を阻害したり、また、臼歯の遠心歯頸部にネガティブビンケルを生じて不潔部となる危険性が高くなります。

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このようなとき装着方向に対して平行性を失わなければ、6度の範囲で自由に雲台を操作し、各歯牙の最も適正な内冠の形成が出来るのがコナトアの特徴です。

たとえば装着方向に対し、6度のワックスシェーバーを用い内冠のワックスアップを行ったとき、その内冠は装着方向に対し6度の余裕があります。

そして、内冠の軸面の一方を装着方向に一致させると、反対側の軸面には12度の傾斜が生まれる事になります。

しかし、これにより補綴物の装着は何ら阻害されないし、コーヌスの維持力も薄れません。

つまり各支台歯の各軸面がもつ装着方向に対する6度の余地は内冠の厚みを均一にし、審美性をよくする上で利用できることになります。

▼コナトアの使用方法について

『コナトア』の使用方法を述べたいと思います。
印象採得された模型は前歯と臼歯で互いに平行性が認められない事が多いです。

模型を上方より観察し、全体的に平均した内冠の厚みがえられるよう補綴物の装着方向を決定した後、これを雲台にのせたままコナトアに載せます。

模型を載せた雲台の下に6度の範囲で傾斜が出来るように調整したコナトアを設置した後、各歯牙の最適な内冠の厚みをコナトアを傾斜させることによって測定します。

最初に前歯の測定を6度のワックスシャーバーを使って行うと、唇側歯頸部にアンダーカットを生じるため、模型全体を臼歯の方向に倒し、前歯を垂直に近づけます。

その後、6度のワックスシャーバーを用いて内冠の形成を行うと、均一した厚みでしかもネガティブビンケルの最も少ない内冠が得られます。

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その際、臼歯の遠心には大きなアンダーカットを生じるため、コナトアを前方に倒し、臼歯部を垂直に近づけ、アンダーカットを少なくし、6度のワックスシャーバーを用いて内冠の形成を行います。
次いで他の歯牙に対しても最も内冠の厚みを得た歯型は一見バラバラなようですが、装着方向に対して平行性を失っていなければ補綴物の装着に何ら支障は生じません。

外冠がすべて連結され一体となった補綴物は内冠どうしは平行になる場所が出来ますが、装着方向に対して一致しているため、着脱は可能です。

コナトアなしでのコーヌスクローネはあり得ない。
と言っても過言ではありません。

ドイツでは、コーヌスシュリッテン、コーヌスウーアなどの名前で、コーヌスクローネ製作時には必ず使用しています。

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これらの道具を使用することで、クオリティーの高いものができます。

前歯と臼歯で平行性が認められない時、コナトアでマージン部の金属部分が露出しないように調整します。

ネガティブビンケル(アンダーカット部の金属の露出)が前歯にでないようにするということです。

このように、模型台の上で補綴物の装着方向を決定、コナトアに模型をのせて6度の範囲で調節して最適な内冠の方向を決定することは、コーヌスクローネの生命線となります。

ということで。

次回は、鋳造された内冠の軸面出し、研磨方法についてお伝え致します。