歯科技工士減少問題について。私が思う事。

歯科技工士減少問題について。私が思う事。

4年前に開催された、IPSG学術大会で父の右腕として活躍をしていた技工士、故岡部宏昭先生から『技工士からの提唱〜技工士の現状と今後〜』

およそ10年以内に爆発的に技工士が減少すると予測され、日本国内の歯科技工士の実態に歯科医師はきちんと向き合う必要がある。

というお話でした。

歯科医師に向かってこのお話をされたことは、非常に勇気が必要だったと思います。

平成27年度 53校の技工士学校の入学者総数は、1.160名と過去最低。

岡部先生の云う通り、今まさにそれが現実になりつつあります。

稲葉歯科医院、そしてIPSGの先生方の仕事の多くは、ドイツで開発されたテレスコープシステムという義歯であり、技工士との連携なくしてはできないものです。

テレスコープシステムが普及している反面、それを提供できる技工士が少なく先生方が困っていらっしゃるのを目の当たりにしていた事から、私はこの度 Weber dental labor を開設させていただきました。

テレスコープシステムのお仕事をしてくださる歯科技工士は本当に大切なパートナーです。

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ここからお伝えする事は、テレスコープシステムを取り入れている歯科医院へのお願いですが、きっと、どの業界においても通じることかもしれません。

私は、これまで一緒にテレスコープのお仕事をしてくださった歯科技工士に対し、お支払いする費用を他社と比べたり、安くしてほしいと伝えた事は一度もありませんでした。

患者様に最善の治療をするためには、一番良い材料で時間をかけて歯科技工の技術を提供するのですから当然費用もかかるものです。

テレスコープの技工にチャレンジしていただけるのですから、ベテランの技工士と同じ、きちんとした費用を請求していただき、育てるつもりで一緒にお仕事をしてきました。

そうすることで、私も技工士もお互い育つことができるのです。

再製があっても、すべて費用は医院に請求していただき、再製費用を技工士が被ることがないように伝えてきました。

私達、テレスコープを専門としている歯科医師はそのぐらいの器がないと、優秀な技工士を失ってしまいます。

「はやく、技工料金表をだしてほしい。」

と、価格で技工所を比べないでほしいと思います。

価格競争となり、沢山の仕事を引き受けないと成り立たなくなり、結果技工の質も落ちてしまうでしょう。

特にテレスコープ技工は、完全なオーダーメイドです。

それぞれの技工所に相見積もりを立てるというのは、必要な事かもしれませんが、見積もりを立てるために、技工士は1時間半ぐらいかけているのを知って頂きたいと思います。

見積もりを頂いたら、私達がこれまで学んできた技術料、すべてを含めた費用を患者様にお伝えすれば良いと思います。

ここで、相見積もりをしてしまうと、どんどん価格が下がり、質も下がってしまうでしょう。

患者様は最善な治療を望んでいられます。

私達はそのために、それに見合った費用も頂いています。

信頼している技工士にすべて託す事も時には大切ではないでしょうか。

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ラボを開設してすぐにお祝いに駆けつけてくださった先生、お花やプレゼントをいただいた方々、一生忘れません。

「応援しています!準備ができたら、ぜひ技工をお願いします。」

とおっしゃっていただいた先生は涙がでるほど嬉しかったです。

現実問題、お仕事をいただけなければ Weber dental labor はつぶれてしまいます。

応援してくださる先生からお仕事を頂ければ、こんな素晴らしい事はありません。

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京王歯研の関先生が、IPSG20周年記念の講演会

『ドイツ最先端義歯とインプラントの融合』〜技工部門〜

の中で、テレスコープシステムの技工作業の平均製作時間は、150時間、160時間かかり、場合によっては、前装のやり直し、バイトの問題があると、もっと時間がかかるとおっしゃっていました。

関先生は、先生方に

『正確なバイトをとっていただきたい。』
ほとんどのケースでバイトが狂っているそうです。

先生方は簡単に削合、修正をだしますが、作る側はこのように長時間かかっています。

これまで、やって来た事がすべて無駄になってしまうということを知って頂きたいということです。

再製だからディスカウント、技工物の着払い。

再製の原因はお互い様、もしかしたら・・・こちらに原因があるかもしれません。

フルブリッジを簡単に再製をだす先生がいらっしゃると聞いた事があります。

費用を安く抑えようとして、厳しくおっしゃる先生がいらっしゃるという事も聞いた事があります。

そのような事をしている限り、日本の歯科技工士減少問題は進むばかりです。

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Weber dental labor の2人の歯科技工士は、最善の技工物を患者様に提供したいと思い、一生懸命夜遅く迄仕事をしています。

また、稲葉歯科医院内のLabo.Intec の高木先生が2人に献身的に指導をしてくださっている事にも頭が下がる思いです。

患者様の笑顔のために仕事をするのは、歯科医師も歯科技工士も全く同じです。

どうぞ、皆さん そのような気持で、歯科技工士とお仕事をしていただきたいと思います。